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Another Way4

GEASS LOG TOP Another Way4
約4,623字 / 約8分

「だからゼロじゃなくて……ルルーシュ、君に特区日本に参加してほしい」
 ユフィにこれから名乗る姓はランペルージだと告げられた後、ユフィとナナリーに促され、クラブハウスのリビングでスザクにそう告げられ、どうしようかと思案する。ユフィもスザクも俺とナナリーが特区に参加することを望んでいる。ゼロである俺が特区の運営に関わる以上失敗は許されない。だからルルーシュとして参加したとしても状況は今以上に悪くなることはないかもしれない。それならば。

「わかったよ。ではこうしよう。俺は皇族に戻るつもりは無い。だが、特区には参加する」
 俺はスザクの言葉に観念したように頷く。何だか彼に丸め込まれたような気もするけれど、ナナリーによってようやくスザクと和解することが出来た気がする。道が違っていただけで、目指す場所は同じだと確信することが出来たのだし、スザクのことはずっと大切に思っていたから。
 敵だとわかった時でさえ、切り捨てることは出来なかった。スザクは《ゼロ》のことが嫌いだったけれど、それが俺だとわかったら、少しはそのやり方を認めてくれたみたいだし、どうしたら一緒にこの先の世界を創っていくことが出来るのか考えてくれているようだった。
 だから手を取っても良いと思えた。もし、仮にアッシュフォード学園に戻ることが出来なくても、スザクがいればそれで良いとすら思えた。
 俺はきっとスザクのことが好きなのだろう。昔からスザクは憧れの存在で、俺にとって彼の強さや少し強引なところ、自分の正義を貫こうとする姿が大好きだった。だから道を違えてしまった時は胸が苦しくなった。だけれども、今はきっと一緒に……。
「本当に!?」
 スザクの顔がぱあっと明るくなり、わかりやすく表情に出てしまうところが今も昔も変わらないな、と思った。
「ああ、だが学園は辞めないからな。卒業するまでは名前だけの参加にする。それで良いか?」
「うん、充分だよ。ありがとう」
「ナナリーも一緒に。せめて中等部は卒業させてやりたいし」
 ナナリーの幸せが俺の一番だ。
「ねぇユフィは?」
 そうしてスザクはユフィのことに言及する。ユーフェミアは一般人になったとはいえ有名人である。
「ああ、お前が思っていることは大体分かる。ユーフェミアは一般人になるには顔を知られすぎている。だが、ユーフェミアもそれは重々承知だろう。変装なり何なりする必要があるだろうな」
 少し突き放した言い方になってしまうが仕方がない。一般人として生活するには難しい状況なのだから。
「ユフィ……ずっと学校を辞めたことを後悔しているみたいなんだ……。決して僕には言わないけれど」
「何だ?」
「うん……ねえ、ルルーシュ。ユフィがアッシュフォードに通うことは出来ないかな?」
「はぁ? な、何を云っているんだ、スザク」
 スザクの言葉に思わず困惑させられる。
「だからといってアッシュフォードは無いだろう! 俺たちの素性がばれる!」
 スザクは何を云っているんだ。行政特区から通えるブリタニア人子女向けの名門校なら幾つか存在している。そのうちの一つに通うことなら可能かもしれないが。
「まあ事態が落ち着いたら他の学校になら通うことが出来るかもしれないが、きっちりとした警備体制のあるアッシュフォードとは別の名門校でないと」
「……だよね……でもありがとう」
 あくまでもルルーシュ・ランペルージとナナリー・ランペルージは一般市民なのだから、と強調するとスザクもそこは同意してくれた。

転校生は生き別れた妹でした

 俺とスザクは今まで話し合いが足りなかったのかもしれない。だからこそ、目的は同じなのに手段が全く異なっており、お互いに敵同士といえるような状態になってしまっていたのだろう。
 だからその溝を埋める為に更に二人で話合った。そして筋道を見いだせた。俺が特区をスザクとユフィと成功させることが出来れば、その先にあるブリタニアからの独立の可能性も見えてくるかもしれない、と。
 そしてその日本を足がかりとして、ブリタニアに渡ることも出来るかもしれない。そうすれば母さんを殺した奴らを探し出すことも出来るかもしれないから。
 そうして話し合いが纏まり、未来への道が見えた筈だった……。

――だが、それらがすぐに無へと帰すことになるとはこの時は思ってもみなかった……。

 あの日から三日が経った。
 昼は政庁で仕事、プライベートはクラブハウスで共に過ごし、夜は政庁に帰る。ユーフェミアはそんな生活を送っていた。
 ナナリーはユフィと会える日が増えてとても嬉しそうだった。
 俺もこのしばらく政庁での仕事に追われていたが、学校もそろそろ顔を出さないと出席日数が足りなくなる恐れがあった。そして、今日はそれが理由で俺は学園へと登校することにした。
 メールによると、どうやらスザクも今日は学園へ行くことにしたらしい。毎日政庁で顔を合わせているとはいえ、俺がゼロであるということは行政特区の他のメンバーにはバレていないから、常にゼロの姿のまま仕事をこなしていた。
 そうなると、スザクとは表面的な会話しか出来ない。仕事の後はクラブハウスでも特区のことについて話し合っているし、俺は久しぶりに今日は学園で友人同士としてスザクと普通の会話が出来るな、と楽しみでもあった。
 初めての友達で親友。スザクは俺にとって大切な存在だ。はっきりとは言えないが、スザクのことが好きなのかもしれないのだ、恋愛的な意味で。
 俺は確かにそういった色恋沙汰には慣れていないけれど、でも、極端に鈍いつもりはない。だからきっとこの気持ちはきっと間違ってはいないもので……ただ、確証がほしかった。
 ただ、もし俺がスザクに恋している場合、最大の障壁はスザクが俺のことを好きになってくれなければならないということだ。もし、仮にスザクが同じように思ってくれるのなら、性別などという問題はきっと些細なことに過ぎないだろう。

「お、一限からいるなんて珍しいじゃん、ルルーシュ、おはよ!」
 教室に入ればリヴァルに声を掛けられる。
「ああ、リヴァル。おはよう。たまにはちゃんと来ないと出席日数が、な」
「そうだな。補習とか言ったらまたシャーリーに怒られるぞ!」
 シャーリーはいつも気にかけてくれる良い友人だったけれども、少し前までギアスで記憶を奪ってしまってからはぎくしゃくしていた。最近ようやく普通に話してくれるようにはなったけれども、他人ごっこはまだ続いている。もう一度、彼女と友人になれる日がくれば良いなとは思うがでも、彼女の父が死ぬ原因を作ってしまったのは他ならぬ自分だったからそれも躊躇してしまう。
「はいはい」
 軽く微笑んで返事をしてから自分の席に着く。そうすればスザクが教室へ入ってきた。
「おはよう! ルルーシュ」
「おはよう、スザク」
 そのままスザクは彼の席に向かっていく。生憎昨日はあいつのせいで寝不足だ。スザクは頭が悪いとは云わないが、特区の運営など彼にとっては慣れないことなのだろう、いっぱいいっぱいな様子だった。
 夜遅くまでかけてわかりやすく丁寧に三回説明してようやく「解った!そういうことだったんだね!」と言ったスザクはとても元気そうだ。まだ、ホームルームまで幾らか時間がある。もっとゆっくり来れば良かったと今更反省しつつ目を閉じる。あと十分だろうと睡眠時間は大切だ。

* * *

「ん……、何だ?」
 目が醒めると教室内が騒がしい。ホームルームの時間にこんなに騒ぎになるなんてそうそうあることではない。寝起きのぼんやりとしたままの状態から正常な思考を取り戻そうと、顔を上げて、教卓の方へと視線を向ける。
「ユ、ユーフェミア……!?」
 思わず声が上ずってしまうが、仕方のないことだろう。教卓の前に立っていたのがここにいるはずがない異母妹だったのだから。
 何故彼女がアッシュフォード学園の、俺と同じクラスにいるのだろう。そして教卓の前に立って、こちらを見ているのだろうか。
「……何で……?」
 驚きすぎてそんな言葉しか出てこなかった。皇女殿下と知り合いだとバレたら厄介なことになるのは目に見えているのに。しかし、俺が彼女の名前を呼び捨てで呼んでしまったことは失態ではあるが……。だが、突然皇女が同じ教室にいたら驚くはずだから、誤魔化すことはいくらでも可能だろう。
「転入してきたんですよ、ルルーシュお兄さま」
 ニコリと微笑むユーフェミア。……今彼女は何て云った?
――ルルーシュ”お兄さま”
 今まで隠してきたはずのことがバラバラと音を立てて崩壊するとはこういうことなのだろうか。ユーフェミアは皇族であるだけでなく、このエリア11の副総督として顔が割れている。つまりそのユーフェミアが俺のことをお兄さまと呼んだということは、俺が皇族の血縁者であるということがバレたと言っても過言ではない。

……終わった……。俺とナナリーの静かな学園生活が……。

 スザクが転入してきた時も正直警戒した。スザクを通じて軍や政府関係者に俺とナナリーの生存がバレる可能性があったからだ。
 しかし、確かに実際ユーフェミアに生存を知られてしまったが、正しく言えば神根島で起こったことだし、ユーフェミアは秘密を留めていてくれた筈だった。少なくともさっきまでは、だが……。
「おい。ルルーシュ! お前ってナナリーちゃん以外にも妹がいたのかよ!?」
「しかもあんなに可愛い!」
「さすがルルーシュくんよね〜」
 クラスメイトたちの声が飛び交う。
「え、あ……ああ」
 頷いてみせるが何かがおかしい。どうして誰もユーフェミアが皇女であることや副総督であることに言及しない? 彼女に対する反応が見た目や俺やナナリーとの血縁であること以外に反応はない。不思議に思ってスザクの方へと視線を向けるが、彼も何も知らない様子で戸惑っているのがわかった。
「お父さまに頼んじゃいました! 学校に通いたいって!」
 ユーフェミアは嬉しそうにはにかんでみせる。
「は……?」
「だから通えるようにしてくださったんです。ルルーシュお兄さまが学校をお休みしている間に」
 ユーフェミアから明らかにされたのは驚愕の事実だった。皇帝がこの学校を知っている?
「ま、まさかあいつは俺たちのこと……」
「いえお父様には内緒です」
 そう云いながら人差し指を口に当てながらウインクしてみせるユーフェミアに俺は気が遠くなりそうになる。
 しかし、何故ユフィが皇帝に学園に通いたいと頼むと、生徒たちの記憶がおかしくなっているのか……。まさかギアスか? ……そんな訳ないよな……?
 だが、まぁ都合が良いのは確かなことだ。いつまでもユフィをクラブハウスに閉じ込めておく訳にもいくまい。
 そう思ったところで一つの疑問が浮かぶ。
「だがユフィ、君は俺より一歳年下の筈だろう? 何故俺と同じクラスなんだ!?」
「それもお父様に頼んだら理事長を説得してくれたみたい!」
 あ、あの親父……一体何を考えているんだ? それほどまでにユーフェミアを溺愛していたのか? いや、しかしあいつは弱者に用はないとか云う奴だ。皇籍を返上したユーフェミアは弱者も同然……しかし……。

「あの、そろそろ良いか? 授業を始めるぞ!」

 こうして受難の日々が始まった。

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