• (NARUTO TOP)
  • Geass Log Top
  • Contacts
Logo
  • (NARUTO TOP)
  • Geass Log Top
  • Contacts
Logo
Logo

背徳の花07*

GEASS LOG TOP 背徳の花07*
約14,652字 / 約26分

 それからというものの毎日ルルーシュと共に過ごした。騎士とは主と共にあるべきで、それが自然な姿だった。そして毎日共に過ごすうちに一年という歳月が流れていた。
「ルルーシュ様、今日は咲世子さんが留守ということなので、自分が紅茶を淹れてみたのですが……」
 紅茶を淹れる手順は咲世子に習っていたから何とか上手く出来たと思う。大切なのはお湯の温度と蒸らす時間だ。主が好むような紅茶を提供することが出来なければ、騎士の役目を果たしているとはいえないかもしれない。護るだけが騎士ではないのだ。
「ああ、ありがとう、スザク」
 彼はいつの間にかスザクのことを名前で呼ぶようになっていた。自然と打ち解け合うことが出来たのは自分と彼の歳が同じだからだろうか。それともルルーシュの人柄かもしれない。彼は皇子でありながら皇子として育ってきた訳ではない。
 こうして毎日離宮で暮らしてはいるが、学校に通ったり、何か仕事をしたりしている訳ではないようだった。時折やってくる家庭教師にルルーシュは勉学を教わり、ついでにスザクも一緒に勉強した。ルルーシュが勉強している内容はとてもではないがスザクには付いていけなかったので、別メニューだったが。
「スザク。此処ではルルーシュと呼んでほしい。確かにお前は俺の騎士だか、それ以前に友達だろ?」
「……うん、君は大切な友達だよ」
 友達、そう言葉にして、ズキリと胸が痛んだような気がした。いつからだろう。彼に対してこんな気持ちを持つようになったのは……。
「ルルーシュ」
 呼び捨てで彼を呼ぶと彼は嬉しそうに微笑みをこちらへと向ける。その綺麗で裏のない純真な笑みにスザクはドキリとさせられる。
「スザク。ありがとう」
 ルルーシュはスザクが目の前に置いたティーカップを手に取り、口を付ける。
「少し、散歩に行かないか。今日は天気も良いし」
「そうだね。きっと日差しが気持ち良いよ」
 まだ夏になる少し前の心地の良い気候で、二人はそれぞれ馬に乗ってエグゼリカ庭園へと向かった。
 馬を木に繋いで、二人は草の上を歩く。近くには川のせせらぎが聞こえ、鳥たちの歌声が響く。風がふんわりと吹くと、花の香りが運ばれてくる。ルルーシュは柔らかな草の上に倒れ込んだ。
「スザク、俺は本当に皇帝になるのかな……?」
「ルルーシュ……」
「お前もこっちに来いよ」
 ルルーシュは寝転がり空を見上げたまま、目線だけをスザクへと向けた。スザクそんな彼の隣に仰向けになって同じように空へと目を向けた。
 初夏の大きな綿飴みたいな雲が幾つか、青空の中に浮かんでいる。真っ青な青空には明るく太陽が輝いており、少し眩しい。
 ふわりと風が吹いて木に咲いていた花の花びらが舞い落ちる、ひらひらとそれは地面に落ちたが、一つだけスザクの髪の上へと落ちた。
「スザク、花びらが……」
 ルルーシュはコロンと身体を反転させて、うつ伏せの体勢となると、スザクの髪へと指先を伸ばして花びらを摘み上げた。ピンク色のそれが何だかとても綺麗に思えた。
「ありがとう」
 ルルーシュはそんなスザクの顔を見詰めたまま、何だか面白いことを企んだ時のような笑みを浮かべ、彼は再びスザクの方へと手を伸ばす。
「あ……っ!」
 フニ、とスザクの頬を摘み、ニヤリと彼は笑う。彼の悪戯にスザクは微笑んだ。これが友達というものなのだろう。きっとそうに違いない。
「もう、ルルーシュ!」
 クスクスと二人で笑い合う。この時間が愛おしかった。
「……なぁ、スザク……俺がもし皇帝になっても、お前は俺の騎士でいてくれるか?」
「……勿論だよ、ルルーシュ。僕は君の騎士だ」
 主君と騎士との関係は信頼で成り立っている。ルルーシュはスザクのことをいつでも信じてくれているし、スザクもルルーシュに従う。ルルーシュ以外を主にしようなんてこれっぽっちも考えられなかった。
「俺が皇帝になった後、もし真実がバレれば俺は殺されるかもしれない。例え今の皇帝が俺を後継者に選んだとしても、民衆はそうは思わないだろう。正統な血を引く皇位継承者が皇帝になるべきだという者が大半だと思う」
 玉座は血に塗れている。それはいつの時代も同じだった。正当な後継者であっても骨肉の争いは避けられず、ましてや皇族の血を引いていないルルーシュが皇帝となったらその事実は永遠に隠さなければならなくなる。そうでなければ待っているのは死だけだ。
「……ルルーシュ……。例え何があっても、僕は君のことを護るよ……」
 スザクもルルーシュの方へと身体を向け、二人は向かい合うようにして横になっていた。そしてスザクは指を伸ばし、ルルーシュの頬へと触れる。
「……スザク……」
 彼はスザクの言葉に嬉しそうに微笑む。不安だけれども、スザクと二人であれば乗り越えられるとそう思ったのだろう。スザクもルルーシュのことを支えていきたい、彼を守りぬきたい。そう願った。
 ルルーシュは自身の頬に触れているスザクの手の上に彼の手を重ね合わせる。少しだけ冷たいそれにスザクはドキリと胸が高鳴る。
「……ルルーシュ……」
 少しだけ低い声で彼の名を呼んでしまう。彼の桜色の唇は薄く笑みを浮かべていた。
「スザク……お前は俺のものだ……俺だけの……騎士……」
 その言葉にスザクを抑えこんでいた線が切れた。
「僕は君だけの騎士。君を護るよ……君のことが……」

――好きなんだ。

 スザクは隣に横たわるルルーシュの上へ覆い被さる。もう我慢出来ないくらいにルルーシュへの想いが膨らんでしまっていた。
「スザク……?」
 ルルーシュはこの状況がどういうことなのか全く理解していないようだった。スザクとルルーシュの距離はこんなにも近いのに、彼はキョトンとした表情をしていた。
 しかし、その顔貌は近寄る程美しく、そしてどことなく艶かしさを感じさせる。
「君のことが好きなんだ……」
 スザクは先程の言葉を繰り返した。彼はそれがどういう意味であるのかようやく理解したようで、僅かに頬を染めた。
 スザクは答えも聴かずに彼の薄く桜色に色付く唇に自らのそれを重ね合わせた。
「っ…………!」
 触れるだけの優しい口付けを繰り返す。彼が大きく抵抗する様子をみせないのをいいことに、スザクはペロリとルルーシュの唇を舌で舐める。そして、唇の間に舌を捩じ込み、口を開かせた。そこからキスを深めていく。
 ルルーシュは目をギュッと閉じて苦しそうな表情をしていたが、本気で抵抗しようとはしなかった。許されたわけではないのに、何だか受け入れてもらっているようなそんな気になって、彼の首筋に指を這わせた。
「あっ……!」
 スザクはルルーシュの声にハッとした。ルルーシュは主で自分は彼の騎士なのだ。主と騎士の恋はご法度だった。どうにかして自分の欲望を何とか抑え込み、そして彼の上からパッと退いた。
 彼の目には少しだけ涙が溜まっており、眉を下げて途方に暮れているような様子だった。
「……ごめん。僕、君にこんな……」
 スザクはグッと眉を寄せる。騎士は主のこんな邪な感情を抱いてはいけない筈なのに……。それなのに、どうしてこんなにもルルーシュのことを滅茶苦茶にしてしまいたいという衝動に駆られるのだろう。
「……スザク……俺は……」
 ルルーシュはその先の言葉を紡がなかった。彼は空へと視線を向けたまま、静かに目を閉じる。少し冷たい風が吹き、彼の髪を撫でた。そしてポツリと一滴の雨粒が彼の頬へと滴り落ちた。
 先ほどまでとても晴れていた空がいつの間にか雨雲で覆われ始めていた。
「……スザク、アリエス宮に戻ろうか」
「……うん……」
 彼の提案に頷くことしか出来なかった。彼は先程のスザクの行動をどう思ったのだろう。どうして拒まなかったのだろう。どうして……?
 疑問だけが溢れる。しかし、彼はそれ以上何も云おうとはしなかった。
 二人は口を利くことなく、それぞれに馬に乗って来た時の道を戻る。どんどんと雨脚は強くなっていく。初夏の天気は変わりやすい。遠くの方で雷まで鳴り始めていた。
 彼に声を掛けようとも雨音と雷の音で声は聞こえないだろう。自分は彼の信用を喪ってしまっただろうか。不安で胸が押しつぶされそうになる。
 先を行く彼の後ろ姿を追いながら、スザクは先程の唇の感触を思い出すように自らの唇を撫でた。本当はもっと欲しくて仕方が無かった。これからもこの感情を押し殺して彼の騎士を務めることが出来るだろうか。
 二十分くらい馬を走らせると、アリエス宮が姿を見せる。しかし、二人とも既に服はびしょびしょに濡れていた。こんなに天気が急変するなんて、ルルーシュが風邪をひいたら大変だ。
 そう思いながら、馬を降りる。ルルーシュは濡れたシャツのボタンを外しながら玄関ホールを進む。スザクは彼の後ろへと続いた。
 アリエス宮の中は暗く、外で時折鳴る雷だけが一時的に部屋の中を明るく照らした。咲世子はまだ出掛けているからこの暗闇の中、彼と二人きりの状態だった。
「風邪、ひいたら拙いからバスルームにお湯の準備をするよ」
 いつもならば咲世子が用意している湯殿もスザクが用意する必要があるだろう。そう思い、彼に提案する。
「……ああ……」
 そうすれば彼は何だかぼんやりとした返答をした。
 二人はルルーシュの私室に入ると、その奥へと繋がるバスルームにスザクは向かう。
「少し寒いと思うけれど……すぐに用意するから……!」
 ルルーシュのバスルームに入るのは初めてだったが、広さは違えど使い勝手はスザクの部屋のものと同じだった。水道を捻り、お湯を出す。コポコポと音を立てて勢い良くお湯が湯船へと流れこむ。猫足のバスタブがバスルームの中央に置かれており、その周りをカーテンが隔てる。恐らく通常ならば侍女達が風呂の手伝いをするのだろうが、ルルーシュは咲世子以外にメイドを置いていないから一人で入っているのだろうか。
 湯が溜まれは自動的に停止するように設定されているから、とりあえずこれで大丈夫だろう。スザクはバスルームを後にする。
 そして、ルルーシュの私室へと戻ると、ルルーシュは部屋の電気を付けることもなく、静かにその場所に佇んでいた。彼の服はスラックスとシャツだけで、どちらもが雨によって濡れており、身体にぴったりとはり付いてしまっていた。
「……ルルーシュ?」
 不思議に思って首を傾げる。その刹那、窓の外が一瞬明るく光り部屋を不気味に照らした。その光を彼の紫紺の瞳がギラリと反射させる。無表情の彼にスザクは戸惑いを隠せなかった。
「…………スザク」
 彼は雷が落ちた後の一瞬の静寂の中、スザクの名を口にした。静黙の空間には心地の良い彼の声と外で降る雨音だけが響き渡った。
「ルルーシュ……」
「こちらに、来い……スザク」
 云われた通り、スザクはおもむろにルルーシュの方へと足を踏み出す。十数歩進めばルルーシュの前まで辿り着く。
「もっと近くに……」
 掠れるような声で彼は囁く。そしてスザクは前へと更に足を伸ばす。二人の距離は三十センチくらいしか離れていない。スザクはゴクリと喉を鳴らした。そうしてルルーシュは口元を歪めて更に囁きかける。
「……スザク……もっと、だ」
 スザクがもう一歩足を踏み込めば――その距離はゼロとなる。気が付けばルルーシュの腰を引き寄せるように掴み、唇を重ねていた。
「ん……ッ……ふっ……」
 二人は激しく唇を貪り合う。もう互いに抑えられなかった。ルルーシュもスザクと同じ気持ちでいてくれた。それだけで、どんなに嬉しかっただろう。
 濡れた服の上から背中を撫でる。細身の身体はこうして触れてみると更に華奢に感じられた。
「ルルーシュ……好きだ」
 彼のことをギュッと抱きしめる。そうすれば背に回った彼の腕から確かな力を感じた。上半身から下半身まで密着するように彼の身体を抱きしめていたので、二人共徐々に熱を持ち始めていることには互いに気が付いていただろう。
「……スザク……」
 ルルーシュは耳許でスザクの名前を呼ぶ。その熱の篭った声にゾクリと興奮が高まるのを感じていた。
 ルルーシュのシャツのボタンを外し、纏い付いていた布地を剥がす。そうすれば白く透き通るような肌が覗く。胸元のぷくりとした突起を指の腹で刺激すれば淡い色付きが鮮明になる。
「あ……っ」
 反対側のそれにスザクは顔を寄せて、舌で舐め取るように優しく嬲る。ルルーシュの感じ入る姿はそれだけで妖艶だった。グッと眉を寄せ、目尻に薄らと涙を貯め、頬は紅く染まっていた。普段のクールな彼の姿からは想像が出来ないくらい、その姿は情慾を煽った。
 二人の下半身を密着させ、既に硬く屹立した部分を擦り合わせるように腰を動かす。服の上からだというのにとてもその場所は熱く感じられた。
「はぁ……ンッ」
 ゆっくりと指先を下に移動させ、少し早急ではあるとは思ったが、ズボンの前ボタンを外し、ファスナーを下ろした。
 黒いぴったりとした下着が視界に入り、ゴクリと息を呑む。既に充分勃起していたそれは下着の布地を押し上げ、主張していた。そんな場所を布地の上から指先で撫でるように触れる。そうすればじわりと溢れた体液でその場所を濡らす。自分の愛撫で感じてくれるのが嬉しくて、更にその部分に刺激を与えていく。
「ンッ……スザ……ッ」
 恥ずかしいのだろう、ルルーシュは顔を紅潮させて、スザクの動きを目で追った。そんな彼が愛おしくて唇に柔く口吻を落とす。そして近くにあったソファーへと彼の身体を横たわらせた。
 騎士だから主にこういった気持ちを持ってはいけない筈なのに、それでもこの美しい花のような人を魅了する力を持つルルーシュに誘われてしまえばそれから逃れる術はない。禁忌を侵すという背徳感と彼を抱けるという高揚感どちらもがスザクを支配していた。
「あ……ッ」
 下着からルルーシュ自身と取り出し、先端にキスを落とす。そしてコポリと溢れでたそれを舌を使って舐め取った。
「ひっ……あッ……」
 そのまま舌を使って裏筋をなぞる。先端から溢れる雫を舌で掬い、そうして先端を口に含んだ。
「あ……ッ!」
 スザクの愛撫にルルーシュは高く声を上げた。目をギュッと瞑って、快楽に耐えるように彼は悶えていた。
「……我慢、しないで……気持よく、なって……」

――そうしてくれたら、僕もすごく嬉しいから……。

 ルルーシュが自分の手で感じ、高まってくれればそれだけで嬉しかったし、そうなって欲しかった。そう告げればルルーシュは息を切らしながらも口を開く。
「……お前も、一緒に……ッ」
 ルルーシュの提案にスザクはパッと頭の中が真っ白になる。ルルーシュが求めてくれることがスザクにとって一番嬉しいことだった。
 気が付けば自身を取り出し、ルルーシュのそれと一緒に扱いていた。硬くなったもの通しが触れ合い、擦れる。二人の先走りで手はじとじとに濡れており、それが更に滑りを良くさせ、快楽を一層のものとする。
「……もう、きて……」
 舌足らずな言葉で彼はそうやってスザクを誘惑した。彼はどう見ても初めてのようだったが、スザクとこうしたいという気持ちが彼にそういった言葉を云わせたのだろう。
「うん……ルルーシュ……」
 ルルーシュの脚を押し開き、蕾に自身をあてる。そして慣らすようにその場所にスザクを擦り、徐々に埋め込んでいく。
「ッ…………」
 狭いその場所はスザクをキツく締め上げながらもゆっくりと奥へと誘い込む。ルルーシュは苦しげに眉を寄せてはいたが、痛みはそこまでなく、はじめてにしては上手くいっていた。彼に負担の無いようにゆっくり、ゆっくりと進めていく。
「あ……ん……ッ」
 ある部分を擦り上げた時、ルルーシュは一際高い声を上げた。そこをスザクは重点的に擦っていく。
「あ……ッ、ああッ!」
 中の締め付けが更にキツくなり、限界が近付いていた。
「……スザク……ッ! もう……」
「うん……ッ、僕も……もう……ッ」
 腰の動きを早める。そして、限界へと達した。
「ッ、ああああッ……!」
 ビクリと身体を戦慄かせ、ルルーシュは自分の腹へと精を放つ。スザクもルルーシュの中へと全てを吐き出した。
 二人はギュッと互いを抱きしめ合い、キスを交わした。
「大丈夫……? ルルーシュ……」
 行き成り無理をさせすぎてしまっただろうか。スザクは少し心配になりながらも彼に訊ねる。
「……大丈夫……だと思う」
「ごめんね、濡れたままで……」
 そうして二人は自分たちが雨に濡れた身体のままシャワーの浴びずに行為に至ってしまったことを思い出す。
「あ、お風呂……入ろうか……」
「そうだな……」
 風邪をひいては大変だ、とルルーシュも頷く。
 風呂は二人で入っても充分過ぎる広さだった。二人はぎこちなく向かい合わせの状態で湯船に浸かる。
「……ルルーシュ……好きだよ」
 スザクはニコリとルルーシュに笑みを向ける。そうすば彼は頬を染めて、スザクのことを見詰めた。
「……可愛いな……」
 そんな彼の様子が可愛らしくて、思わずそう零してしまう。
「……ッ、男に可愛いなんていうなよ」
 更に恥ずかしがっているルルーシュを一層可愛いと思いながらもそれを口にすれば怒られそうだったから自分の中にだけ留めておいた。
 この時間が幸せで、ずっと手放したくなかった。こんなに幸せで心地が良くて、暖かな時間は自分がこの国に来てから初めてだと思った。
 それくらいにルルーシュはスザクの中で大切な存在となっていて、騎士という立場を超えた愛を彼に向けていることを実感していた。
 部屋に戻り、彼のベッドに二人で潜り込む。そうしていたら二人とも再び熱を持ち始め、我慢出来ずに再び躯を重ねあわせた。そうしてルルーシュは疲れきったぐったりした状態になってしまい。スザクは一人苦笑した。
 そんなルルーシュの躯を抱きしめながらスザクは彼の髪を撫でる。
 どれくらいそうしていただろうか。いつの間に眠ってしまったルルーシュの髪を指先で優しく梳きながら、幸せを噛み締めていた。
 こんなにも甘くて優しい時間があっという間に過ぎ去ってしまうなんてこの時は思いもよらなかった。どうして、何が目的で、全てを奪われる必要があったのだろう。
 コンコンと部屋のドアをノックされ、スザクはルルーシュの横から離れて、着衣の乱れを整えながらドアへと向かう。そして、ロックを解除してドアを開いた。
「失礼します。火急のご連絡です」
 そこに立っていたのは咲世子で、スザクは彼女の言葉に耳を傾ける。
「スザク様、皇帝陛下より皇宮に来るようにと召喚命令が来ております」
「……皇帝陛下から? ルルーシュ様ではなく、僕に……ですか?」
「ええ、お急ぎください。雨も止みましたから馬で向かえばすぐに着くでしょう」
 一体何故急に皇帝に呼ばれたのか心当たりはなかった。もしかして、ルルーシュへの感情に気付かれた? 部屋が盗聴されたりしていたのだろうか。
 このタイミングということもあり、思わず不安が脳裏を過る。しかし、ルルーシュは用心深かったから監視カメラや盗聴器などの類に気が付かないとは思えなかった。
「……わかりました。すぐに向かいます」
 スザクが頷くと、咲世子は会釈をして、部屋の前から去っていく。
 スザクはソファに横たわるルルーシュへと近付き、眠ったままの彼の頬へとキスを落とす。そして、サイドテーブルに置かれていたメモ帳に皇宮に向かう旨を書き残し、部屋から出た。
 着替えを済ませ、馬に乗り、皇宮へと向かう。雨はすっかり上がり、乾燥した気候の為にすぐ地面も乾いてしまったようだった。十五分程走らせると、皇宮に到着する。馬を繋いで、皇宮内へと入る。この場所を訪れたのは約一年ぶりだった。前回訪れたのは、彼の騎士として任命された時だった。
 真っ直ぐに謁見の間へと向かい、以前と同じように皇帝の前まで来ると、膝を着き、右腕を前に出し、地面と水平に掲げ、左腕は後ろに回す。そして、頭をグッと下げて礼を取る。
「枢木よ……」
 名前を呼ばれ、頭を上げる。皇帝の表情は常に険しい。
「お前をルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの騎士から解任し、新たにナイト・オブ・ラウンズに任命する」
 皇帝の命令からの命令は驚くべきものだった。
「……ナイト・オブ・ラウンズですか……!?」
「コーネリアとの間の娘であるユーフェミアの行方をようやく見つけたのだ。何れは彼女が皇帝となる。今すぐに皇宮には入れないが、お前は何れ最強の騎士となり、ユーフェミアの騎士となるのだ」
「しかし、何故自分が……そのような重要な役目に!? ルルーシュ様が皇帝にならなくとも自分は彼の騎士です。他の人間では駄目なのですか!?」
 彼はそもそも皇位には拘っていないようだった。だからその点について心配するというよりかは自分が彼の騎士を解任されてしまう理由の方が問題だった。
「これは皇帝である儂が決めたこと……。ルルーシュを皇子として引き取ったが、奴に儂の決定を覆す権利はない」
「……そん……な……。陛下……それなら僕は……軍人を辞め、この国から出ます」
 日本に帰れる保証などない。そもそも既に日本はエリア11と名前を変えてブリタニアの配下となってしまっている。EUなら受け入れてくれるだろうか、それとも中華連邦? ルルーシュ以外の騎士とならなければいけないのなら、この国に留まる理由などもう無かった。
「この国の重要な情報を握っているお前を他国に逃すとでも思っているのか?」
 そうだった。自分は皇宮に出入りし、ルルーシュと共に過ごしていたこともあり様々な情報を持っていた。その情報を流出させればブリタニアは大きな痛手を食うことになる。
「枢木よ……お前が幾ら儂に抗おうと無駄なのだ……シャルル・ジ・ブリタニアが刻む……新たなる偽りの記憶を……」
「……ッ……ルルーシュ……ッ!」
 スザクの瞳には見たことのないような赤い光が映し出されていた。そして、自分の積み上げてきた大切な記憶が粉々になってしまうのを感じていた。

「スザク、戻ったのか? 皇帝に呼び出されるなんて……」
 アリエス宮に戻ると、ルルーシュが心配そうな表情を浮かべてスザクに訊ねてきた。
「ルルーシュ様、自分はルルーシュ様の騎士を解任され、代わりにナイト・オブ・ラウンズに任命されました」
 皇帝の元へと向かった理由を彼に告げれば彼は目を見開いて驚いてみせた。
「……え…………? ラウンズ、だと?」
 突然のことに彼は何と云ったら良いのか解らないのだろう、言葉を喪ってしまっていた。それは驚くだろう。自分の騎士であった筈の存在が突然皇帝に奪われてしまったようなものなのだから。
「なので、荷物を引き取りに参りました。今後はベリアル宮に住居を移すようにと陛下からのご命令ですので」
「……行ってしまうのか……?」
 スザクの言葉にルルーシュは確認するように訊ねた。それは戸惑いを隠せないような声色で、声が僅かに震えていた。
「自分はルルーシュ様の騎士ではなくなりましたから」
「……そう、か。随分……急な出世だな……おめでとう」
 彼はそれだけ告げると、静かに目を閉じる。
「今までお世話になりました。ルルーシュ様」
 そしてスザクはナイト・オブ・ラウンズとなった。ルルーシュはその後、どうなったのか知ることはなかった。そう、この学園で再会するまで。

 ルルーシュのことを愛していた。だから彼の騎士となった。彼と少しでも長い時間を共にしたくて、彼に気付かれないように密かに想い続けてきた。そして、ようやく彼と心を通じ合わせることが出来たのにそれを喪ってしまっていた。
 大切な宝物のようだった時間をやっと取り戻すことが出来たのだ。
「…………思い出した……ルルーシュ、僕は君と……」
「スザク……」
 二人が見つめ合っていると、C.C.が横から口を挟む。
「間接キス、だな。ルルーシュ」
 C.C.はクツリと嗤う。どうやら自分達の関係はお見通しらしい。先程までスザクとルルーシュは口吻を交わしていたことをきっと彼女は知っているのだ。
「……ッ! C.C.!」
 ルルーシュは眉を寄せ、頬を染めながら彼女を牽制する。
「ふふ……邪魔者は早く消えることにするよ。目の前でイチャイチャとされたら堪らんからな」
 C.C.はニヤリと笑みを浮かべたまま部屋を立ち去った。嵐のような一瞬の出来事に二人は顔を見合わせる。
「……大好きだよ……ルルーシュ、君のことがずっと好きだった……」
 忘れてしまっていた感情を再びルルーシュと向ける。すると彼はスザクが横たわるベッドの端に腰掛ける。スザクは彼の頬を両手で包み込むように触れる。そしてジッと彼の顔を見詰めた。白く肌理の細やかな肌に宝石よりも美しくロイヤルパープルの瞳。黒くて長い睫は頬に影を落とす。
 綺麗だった。何で彼は自分のことをこんなにも想い続けていてくれたのだろうと不思議に思ってしまうくらいだった。
「スザク、俺もお前のことを愛してる。俺を暗闇から救えるのはお前だけだ」
 二人は静かに唇を合わせる。触れたその場所は柔らかく、心地が良い。自分の本当の記憶を取り戻した今、こんなに嬉しいことはなかった。もう一度彼に触れられるということが、こんなにも……。
「……俺は……本当に……あの皇帝の……」
「そうみたいだね……。君は正真正銘の正当な皇位継承者だったんだよ……皇帝陛下はそうは思っていないだろうけれど……」
 皇帝の子供なら母親が平民出身であっても騎士を持つ資格はある。皇帝に振り回されることなくスザクはルルーシュの騎士でいられる――。
「……だが、良いんだ。皇位はユーフェミアに。俺はスザク、お前だけがいればそれで……」
 お互いがいればそれだけで良かった。それなのに、それに気が付くのにこんなにも長い時間が掛かってしまった。
「しかし……俺は皇帝を許せない……。お前の記憶を勝手に改竄し、お前や母さんの人生を滅茶苦茶にした……許せる……訳がない……」
 ルルーシュの表情は哀しみに満ちていた。皇帝は様々な人の人生を狂わせた。スザクだけではない。ルルーシュやマリアンヌ、そしてコーネリアやユーフェミアまで……。
「……許せなくても良いんだ。でも僕は君が傍にいてくれるだけで充分で、君のことをもう喪いたくないんだ……」
 ルルーシュの震える手に自分の手を重ね合わせる。そして反対側の手で彼の腰を引き寄せ、スザクはルルーシュに口付ける。
「っん…………」
 彼の中にある哀しみや憎しみの気持ちを口にするのはこの国では叛逆罪に値する。もし、何処かでそれを知られてしまえば彼の命は危険に冒されることになる。これ以上彼を傷つけさせたくなかった。皇帝に牙を向けばきっと未来はない。彼にこれ以上傷ついてほしくなかった。

* * *

 ようやく脚の怪我が良くなり、完治はしていないものの歩けるまでに回復していた。医者が云ったよりもだいぶ早く良くなったこの脚にルルーシュは驚いていたが、昔から身体の代謝には自信があったし、怪我をしても酷くなることは殆ど無かったから、自分としては然程驚くことでもなかった。
「一度戻って、ユーフェミア様に記憶が戻ったって伝えてくるよ。ルルーシュの騎士を続けたいことも話したらきっとわかってくれると思うんだ」
 ユーフェミアは自分のことも記憶のことも心配してくれていた。とにかく彼女に説明し、理解してもらうことは出来る筈だと思った。
 元々ルルーシュに忠誠を誓った自分。そして、それを捻じ曲げられた真実。それらはユーフェミアには関係のないところで起きた出来事だったけれども。彼女は信頼し、真実を話すことが出来ると思った。
「……そうだよな……」
「うん、これ以上黙ったままでは彼女に心配を掛けてしまうし……」
 しかし、ユーフェミアの元を訪れることは逆にルルーシュに心配を掛けることにもなる。
「わかった。でも俺も一緒に行くよ。ジノにもしっかり話さないと……」
 それならば問題はないだろう。ルルーシュだってジノにきっと何も説明していない。二人に話を付けなければ自分がルルーシュとこの先主従関係でいることも上手くいかなくなってしまうかもしれない。
 ジノはきっとルルーシュのことが好きだ。だから難しいかもしれないけれども、それでも何も云わずに黙っていることなどルルーシュにも出来ないだろう。
「イエス、ユア・ハイネス!」
 スザクはルルーシュの頬へと口吻を落とす。

 学園に二人で向かうと、教室にはユーフェミアの姿があった。その側にはジノが。
「スザク……! 無事だったのね!」
 スザクが来たことに気が付くと、ユーフェミアは嬉しそうに微笑んだ。そして、ジノは碧眼を細めてこちらを見据える。
「ジノ……お前には悪いことをした」
 ルルーシュは申し訳無さそうに眉を下げながらジノの碧眼を見詰めた。そんなルルーシュの様子にジノは気が付かないフリをしているのだろう。優しく微笑んだ。
「その様子では……賭けは私の負けのようですね、ユーフェミア様」
 ジノはそのまま笑みを浮かべながらユーフェミアへと視線を向ける。賭けというのは何の話だろう。ジノとユーフェミアが何に賭けたというのか。全く突然の話題にスザクは目をパチパチと瞬いた。
「賭け?」
 スザクとルルーシュは首を撚る。笑い合う彼らはいつの間にか仲良くなってしまっていたようで、こちらが吃驚してしまった程だった。
「スザクの記憶が戻って、ルルーシュを選んだら私の勝ち。私を選んだらジノの勝ちという賭けよ」
 まさかそんなことを賭けられていたなど誰が想像しただろう。しかし、実際スザクはルルーシュと共に過ごしたいと願ったのだから確かに賭けはユーフェミアの勝ちだった。
「私が負けたら私はユーフェミア様の騎士となる約束です。どちらにしろルルーシュ様にスザクがいれば私はお役御免となってしまうでしょうし」
 ジノはもう哀しげな顔をしてはいなかった。彼は何時でもルルーシュの幸せを願っていた。そしてそれが達成されたことを彼は喜んでいてくれていた。あんなにも彼を傷つけたのにルルーシュの方が驚く程にジノの表情は晴れやかだった。
「ジノ……」
 ルルーシュは静かに彼の名前を紡いだ。ジノはニコリとルルーシュに微笑む。きっとこれが彼の本来の性格で、持ち前のポテンシャルだったのだ。
「ルルーシュ、私にジノをいただけませんか?」
 ユーフェミアの提案にルルーシュは息を呑む。彼女はいつだって優しかった。人の心の痛みを知っている少女だった。
「ジノもそれを望むのか?」
 確認するようにそう訊ねると、彼は頷いてみせる。迷いはなかった。
「ええ」
「それならばユフィ、君にジノを」
 ユーフェミアの力がジノを前向きにし、ルルーシュとスザクを引き合わせた。やはり彼女が皇位を継ぐのが一番だろう。もし、それで困るようなことがあれば自分とルルーシュ二人で支えていけばいい。
「謹んでお受け致します。あなたもスザクを大切にしてね」
「……勿論だよ、ユフィ」
 もうスザクのことを喪いたくはない。だからスザクは既にもう何よりも大切な存在となっていた。
「ねぇ、ルルーシュ……あなたのお父様ってやっぱり皇帝陛下なんじゃないかしら……」
 ユーフェミアの突然の言葉にスザクもルルーシュも驚嘆した。そう、C.C.から知らされた事実で、スザクとルルーシュとC.C.の三人しか知らない筈のことだった。
「……どうして、そう思うんだい?」
 ルルーシュは恐る恐るユーフェミアに問う。
「何だか本当にあなたがお兄さまのような気がしたの。血の繋がりを感じるというか……上手く言葉では表現出来ないのだけれども、あなたに幸せになってほしいって……すごくそう思えてしまうの」
 ルルーシュは眉を下げ、ユーフェミアに近付く。
「……凄いな……。君は……」
「……やはり、そうなのですね。ルルーシュお兄さま」
 ユーフェミアは花のような鮮やかで綺麗な微笑みをルルーシュへと向けた。
「本当はルルーシュ……何となく血の繋がりを実感した時、あなたに皇位をと思ったの。けれども……今ね、私、自分でやってみようと思えたの。すっごく大変だと思うけれど、ジノやルルーシュ、スザク……みんなが居てくれたらきっと上手く行くって……そう思ったの」
 ルルーシュは首を縦に振って彼女の言葉を肯定する。
「ああ、みんなで君を支えてみせるよ。きっと君が皇帝となる日は遠くない。だからこそ、皇帝は焦っていたんだ。自分が犯してしまったことに後悔しながらも君をこの学園に入れたということはそういうことだろう」
 ルルーシュは笑みを見せる。それはいつもの作ったような微笑みではなく、きっと心からのものだった。
「ありがとう、ルルーシュ……。この学園でたくさん勉強して、皆で良い国が作れるようになります……。そうすればお母様は喜んでくれると思うの。きっとあなたのお母様も……」
 ユーフェミアは笑みを洩らす。
「あら、ゼロ様?」
 神楽耶とミレイとその騎士達がルルーシュやユーフェミアが教室に既に居ることに気が付いたのか笑顔で教室に入ってきた。
「お久しぶりです。ゼロ様。もうスザクも脚は良くなったみたいですわね」
 神楽耶はやはり表にはあまり見せないが、本当はスザクのことを心配していたのだろう。
「みんな心配していたのよ」
 ミレイも眉を下げてそう云った。
「それで……どうなったの?」
 好奇心旺盛なミレイは決闘後結局どうなっていたのか知りたくて知りたくて仕方のない様子だった。
「私、皇帝になることにしたんです」
「ユフィ、あなた皇帝になるのねー……って、えっ!?」
 ユーフェミアの微笑みにミレイも周囲も吃驚したような声を上げる。
「ルルーシュがね、手伝ってくれるんです。私はこれ以上みんなが哀しい思いをすることがないような世界にしたいの」
「ユフィ……。あなたならきっと出来ると思う……。アッシュフォード家も協力するわ」
 皆で協力すれば出来ないことなんてない。心からそう思える日が来るなんて思ってもみなかった。
 こうして学園を纏める二人の皇族が手と手を取り合った。それにより、彼らの過ごした期間はアッシュフォード学園が近年最も繁栄した期間だとさえ、今では云われている。
 学園生活残りの三年間、ユーフェミアは懸命に勉強し、ルルーシュは自分が卒業するまでそれをフォローした。そして卒業したルルーシュはユーフェミアより一足早く公務に就いた。父親である皇帝には自分が実の息子であると彼は告げなかったが、その才能が買われブリタニア帝国の宰相として就任した。そして――…。

* * *

「遂にこの日が来たんだな」
 ルルーシュは執務室のテラスの窓を開けると、ふわりと風が室内へと舞い込む。そして街を一望出来るその窓からは街からはガヤガヤとした歓声や明るいメロディーの音楽などが聞こえてくる。市街地はこの日を祝う様々な人達で溢れかえっていた。
「ええ、遂にユーフェミア様の戴冠式ですね」
 すぐ後ろに控えていたのは我が騎士である枢木スザク。
「今日から世界が変わるんだ……」
 新たな皇帝……ユーフェミア・リ・ブリタニアが十八歳という若さで第九十九代ブリタニア皇帝として即位をする記念すべき日だった。そう、それは新しい時代の幕開けだった。
「これからも俺に付いてきてくれるか? 我が騎士よ」
 ルルーシュは宰相として皇帝となるユーフェミアを支えることになる。慈愛の姫として国民に親しまれてきたユーフェミアが皇帝になることを帝国臣民達は心待ちにしていただろう。外を見ればそれは一目瞭然だった。
「勿論です。今度はあなたの手を絶対に手放したりはしません。……僕は君の騎士だから」
 スザクはしっかりと力の篭った声でそう告げる。自分が最も愛し、最も必要とする存在だった。
 宰相として戴冠式を取り仕切る大仕事が待っていた。きっと、先代皇帝である自分の父が敷いてきた圧政から臣民達を解放し、この国を良い方向へと導くことがあの父に対しての一番の叛逆になる。
 皆で力を合わせて、協力すればそれはきっと実現出来る筈だから。
「さぁ、行こうか……。我が騎士枢木スザク」
「イエス、ユア・ハイネス!」

fin.

Novels
  • Suzaku*Lelouch50
    • Novels42
      • Another Way4
      • False Stage110
      • False Stage28
      • False Stage37
      • False Stage41
      • Lost memory2
      • 水月鏡花3
      • 背徳の花7
    • Short Story8

⚠ サイト内の画像、文章の無断転載は許可しておりません。
⚠ Do NOT repost any images and texts on this website.

Logo
Logo
  • (NARUTO TOP)
  • Geass Log Top
  • Contacts