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水月鏡花01

GEASS LOG TOP 水月鏡花01
約7,867字 / 約14分

 十歳の誕生会を先日終えたばかりだったその日は月の明るい夜だった。
 何となしにアリエス宮を出て外の澄んだ冬の空気を吸おうと外を眺めていると、そこにぼんやりとした人影を見つけた。こんな時間にこんなところで一体誰がアリエス宮の前を彷徨くというのか。衛兵であったとしても自分達の目に付くところを巡回するとは思えない。とはいえはたまた火急の用件を持ってきたナイト・オブ・ラウンズというのは少々考えづらい。
 想像を巡らせながらジッと目を凝らし、徐々に浮き出るように現れるその人影に注意を向け続ける。ぼやけていた焦点がゆっくりと合うように、段々とはっきりとしてきたその姿に驚き、そして息を呑んだ。
 そこには見たことのない異国の風貌をした自分と同じくらいの歳の少年の姿があった。ブリタニア人とは違う。少し日に焼けた健康的な肌に鳶色の癖のある髪の毛、そして宝石のように美しく輝く力強い翠色の眸。
 暫く動けずに棒のようになっていた足をゆっくりと前に踏み出せば、地面に生えていた草花がガサリと音を立てた。その時の音でだろうか、彼もどうやらこちらの視線に気が付いたらしく、その翠色の眸を細め、眉を寄せて警戒を強めるような仕草でこちらを見た。
「お前は、誰だッ?」
 張り詰めたような声色で少年から発せられた言葉は、予想だにしないものだった。何故ならば自分はこの国の皇子で、そしてこの場所は自分の住まうアリエス宮の目の前だったから。まさかこの場所でそんな非常識な言葉を聞くことになるとは露とも思わなかったのだ。驚き―――いや、惘れても仕方のない、そんな発言だった。それでも彼を咎めることがなかったのは何となく彼に興味を持ったから。ただそれだけだった。
「君こそ誰だ?」
 そしてそれが枢木スザクとの初めての邂逅だった。

* * *

「ルルーシュ、実はシュナイゼル殿下に呼び出されちゃって……」
 アリエス宮の玄関ホールは初夏の花で色とりどりに賑わっていた。まだ暑いというには早く、一年でもっとも過ごしやすい季節だ。優しい日差しが天窓から降り注ぎ、広間を明るく照らす。大理石の市松模様が足元にくっきりと浮かび、所々で虹色の光を反射させた。
「そうか。ならお茶会は延期だな。ナナリーとロロに伝えておくよ」
「ごめんね」
 あらかじめ決めていた茶会の延期を告げると、申し訳なさそうにスザクは謝った。そんな彼に向けて首を軽く振って心配するな、と伝えれば彼は眉を下げてもう一度謝ってみせる。そんな律儀な姿にやはり彼の本質は日本人であるのだな、と思いながら翠色の眸をじっと見詰める。
 枢木スザク。橙色の軍服を纏う彼はこの神聖ブリタニア帝国の軍の所属している職業軍人だった。地位は准尉、ブリタニア人でない軍人としては異例の高位だ。
 スザクの出身は日本、今はエリア11と呼ばれるブリタニアの属領地となってしまった場所だった。
 彼がこの国に足を踏み入れたのは日本がエリア11と名前を変えたその次の年だった。初めて出逢った時、彼の心情はぶつけようもない怒りに満ちていた。突然敵国へと人質として送られ、訳も解らないままに適当に見繕った場所へと押し込められようとしていたのだからそれは当然のことだろう。不満で一杯だった彼が監視の目をかいくぐり、逃げ出した先がこのアリエス離宮だったというのだ。
「でも、お茶会楽しみにしているから」
 そっと篭められる熱の籠もった視線。気が付かない訳がない。それでも気が付かないふりを決め込み、口を開く。
「ああ、兄上の呼び出しならば仕方が無い。お前の上司を辿れば着く先はシュナイゼル兄上だからな」
 特別派遣嚮導技術部―――通称特派と呼ばれるその場所こそ、スザクに与えられた生きる場所だった。始めは日本政府が再びブリタニアに叛旗を振ることのないようにとスザクを人質としてこの国に連れてきたのだが、その後自分と友人になったスザクはロロとナナリーの仕掛けた悪戯により密かに最先端兵器であったナイトメアフレーム―――ガニメデへと騎乗した。
 そしてその時たまたまアリエスを訪れ、スザクの才能に気が付いた異母姉コーネリアはそのことを異母兄であるシュナイゼルへと報告した。いや、報告という程のことではない。ただ軽く洩らしただけのことである。
 しかしそれによってスザクは第七世代ナイトメアフレーム〝ランスロット〟の専用デヴァイサーとして抜擢された。
 開発者であるロイド伯爵もその才能には驚かされていた。数千人、いや数万人に一人と云われるその機体を自在に操ることの出来る唯一のデヴァイサーがこの枢木スザクだったのだ。
「そうなんだよね。ロイドさんはシュナイゼル殿下の旧友だって仰ってたけれど」
「旧友どころか悪友だな。あの二人は。妙なところで気が合うようだから」
 ロイドと自分の異母兄である第二皇子シュナイゼルは旧知の仲だった。だからスザクがシュナイゼルに呼び出されたと聞いても驚きはなかった。それはつまりロイドの上司はシュナイゼルで、スザクの直接の上司がロイドなのだからシュナイゼルもまたスザクの上司ということになる。上司が部下を呼び出すことは良くあることだ。
「さぁ、準備があるのだろう? そろそろ帰った方が良い」
「…あ、うん。そうだね。報告書もまだ残っていたんだった。じゃあまた」
 戻るようにと促せば彼は名残惜しげにその場を後にした。
 少し離れたところで一度だけこちらを振り向き、その翠玉を細める彼は、すぐに再び前へと向き直ると、僅かに足を速めた。
「……スザク」
 遠くへ消えていくその背をじっと穴の空いてしまうくらいに見詰めながら、そっと彼の名前を呟く。彼と別れる時はいつもこうだ。別に彼の姿が見えなくなるまで見送る必要はない筈なのに、どこまでも彼を追いかけてしまいたくなる。
 それからどれくらいの間そうしていただろう。じっと見詰め続け、とうとうその後ろ姿すら見えなくなった時、不意に背後に人の気配を感じてゆっくりと振り返る。
 そこには愛おしい双子の片割れ、ロロが立っていた。アッシュブロンドの髪は少しだけ癖があり、柔らかな印象を与える。ルルーシュと母を同じくしたロロとナナリーは二卵性双生児だったが、二人は良く似ていた。
「兄さん」
 少し切迫したように呼ぶその声には焦燥が浮かんでいた。一体どうしたというのだろう。
「何かあったのか?」
「訊きましたか? スザクさんに…召喚命令が」
 その言葉に特に驚くべき理由は見当たらなかった。確かにスザクはシュナイゼルに呼ばれていると言っていた。それならばその相手はシュナイゼルということになる。それを何故ロロがそれ程までに心配するのだろう。意味が解らずに眉を寄せ、疑問符を浮かべる。
「シュナイゼル兄上だろう? それならスザクから聞いていたが…」
「いえ、違うんです」
 シュナイゼルではないのだ、とロロは否定する。では一体誰がスザクを呼び寄せたというのか。
「……では一体誰が?」
「父上からの勅令です。スザクさんをナイト・オブ・ラウンズに、と」
 ナイト・オブ・ラウンズ―――皇帝の騎士。つまり皇帝はスザクを自分の騎士にする為にスザクを呼び出したというのだ。シュナイゼルが彼を呼んだのはそのことを事前に説明する為か―――。
「そ…んな、まさか……」
「ランスロットのデヴァイサーとしての功績を認められ、セブンの名を拝命すると」
 まさか、と思う。スザクが皇帝の騎士に? そんなことが有り得るというのだろうか。スザクはブリタニア人ではないというのに。
「スザクが…ラウンズ……」
「ええ、僕も先程聴きました。それでスザクさんに直接確かめようと思ったのですが、もう行ってしまわれたようですね…」
 どうして急にそんな話になったのだろう。確かにスザクはランスロットを駆る素晴らしいパイロットではあったが、それだけでナイト・オブ・ラウンズになる程の功績を立てたというのだろうか。それともエリア11と何らかの問題が生じ、スザクを特別扱いする必要が出てきた? 真意は未だ解らないが、何か裏があるのは間違いないだろう。
「…恐らく本人も未だ知らされていない、というところだろう。そんなこと、一言も洩らしていなかったからな」
 スザクがそれを自分に対して隠すとも思えない。そう考えると彼も未だ知らされていないと考えるのが適当だろう。
「…スザクさんの夢は兄さんの騎士になることじゃなかったのですか?」
「……俺はスザクを騎士にするつもりはない」
 ロロの問いから少し間を置いてから何とか言葉を絞り出す。スザクは確かに以前から自分の騎士になりたがっていた。しかしそれを是としなかったのは自分自身だった。何故ならばスザクを騎士に出来るような身分ではないのだ。もし、スザクを騎士にしてしまったらきっともう後戻り出来なくなってしまう―――。そう思っていた。
「ではみすみす父上にスザクさんを?」
「………仕方がないだろう」
 きっと何れはこうなる運命だったのだ。スザクは自分の元を離れていく。それは決められた道筋だった。寧ろ今まで共に過ごしたこと自体が不自然だったのだ。
「……兄さんは意地っ張りですね。でも、考え直してください。兄さんにはスザクさんが必要です。他に戦場で誰が兄さんのことを護るのですか? 僕で良いならすぐにでもKMFに乗るのに…」
 ロロは皇子でありながらも騎士として戦場に立つことも辞さない構えだ。しかし、大切な弟をそんな危険な場所には行かせたくない。それが兄としての願いだった。
「お前は駄目だ。そんな危険なことなんてさせられない。ロロ、お前にはナナリーを護ってほしいんだ」
 譬え戦場でなかったとしてもこの皇宮は安全とは言い難い。数々の陰謀が渦巻き、隙を見せればそれらが襲い掛かる。そんな場所なのだ。
「……僕は兄さんもナナリーも護りたいです」
 ロロはぷっと頬を膨らませながら零す。この可愛い双子をそう易々と戦場に行かせる気はなかった。戦場に立つのは自分だけで充分だ。
「戦場は危険だ。だが俺を護る為に多くの兵士が躯を呈してくれる。それだけで充分だよ」
「充分なんかじゃ、ありません」
 悲愴に満ちた表情は自分を心配してだということは解っている。それでもこれ以上どうしようもない。スザクはもう既に皇帝によってナイト・オブ・ラウンズに任命されようとしているし、それを覆すだけの力を自分は持たないのだから。
「俺は部屋に戻るよ、ロロ。見ての通りお茶会は延期だ。ナナリーにも伝えておいてほしい」
「…解りました。兄さん」
 ロロは渋々といった様子で廊下を引き返す。そして自分も部屋へと戻る為に足を踏み出した。

 部屋に戻ると片付けをしていた女中らを下げ、綺麗に整えられた革張りのソファーへと身を預ける。上体だけ横になるような体勢でそっと瞼を伏せればスザクの顔が思い浮かんだ。
 どうしてスザクを騎士にしないのか。どうしてスザクを黙ってそのまま行かせてしまったのか。そんなことは訊かれるまでもなく自分が一番良く知っていた。
 俺はスザクのことが好きだ。だからこそ、騎士には出来なかった。そして彼の背を追うことも出来なかった。全てはこの気持ちが親愛の情ではないということに起因する。
 これは友人を想う気持ちとはきっと違う。そのことに気が付いたのは一体いつだったか。
「…ナイト・オブ・ラウンズ、か」
 円卓の騎士とはこの神聖ブリタニア帝国唯一皇帝を護る為の直属の騎士団である。彼らはこの階級社会において自分達皇族の次に権力を持つ存在だった。一般に帝国内から実力及び家柄の優れた者の中から選出されることが多いが、必ずしも良家の出である必要はない。母であるマリアンヌも出自は庶民だったが、その昔ナイト・オブ・シックスとして皇帝の騎士を務めていた。
 つまりスザクが異例の選出だというのはその出身地がブリタニア以外の異国であるということだ。彼は名誉ブリタニア人だがブリタニア人ではない。それが皇帝の騎士になるのだという。勿論スザクに拒否権が存在するとは思えない。スザクが拒否すればエリア11の民は更に酷い扱いを受け、その憎しみの矛先はやがてはスザクにも向けられることになるだろう。憎まれるのは許容出来ようが、彼が人民の粗野な扱いを受け入れられるとは到底思えなかった。
「…スザク……」
 屈託のない笑顔をいつも向けてくれたスザク。しかしいつしかその表情の中に別の表情を見つけたのはそう遠い昔ではない。はじめは解らなかった。でも、次第にその意味を理解した。熱を篭めたその視線を嬉しいと思ってしまった時には既にもう手遅れだった。
「……スザク……好きだ…」
 自分の躯を包み込むように己を抱きしめ、じっと動きを止める。いつか、もし、彼に手を伸ばすことを赦されるのなら、彼はその手を受け入れてくれるだろうか。今と変わらぬ想いを今度は隠すことなくさらけ出してくれるだろうか。
 しかし自分達の立場がそれを赦す筈がないことは良く知っていた。だからこそ、そんな幻想は決して現実には成り得ず、そしてこれがただの夢想と成り果てることは充分熟知していた。手を伸ばしてしまったら待つのは破滅という道だけなのだ。
 それでも、今だけはお前のことを考えることを赦してほしい。それ以上はもう望まないから。

* * *

 アリエス宮を離れ、一度軍の宿舎へ向かう。きっちりと身なりを整えて来るようにと念を押されたことを忘れてはいない。同じ皇族でも友人であるルルーシュに逢う時はそんな気遣いはかえって不要なのだろうが、第二皇子シュナイゼルといえばこの国の宰相である。ルルーシュの兄とはいえ失礼は赦されない。
 先程のルルーシュの表情を思い出しながら、そっと溜息を吐き出す。いつもと何ら変わりのない彼の表情。一見すれば冷たいもののようにも思えるが、本当は彼が優しい人だと知っている自分にとっては何にも代え難い優しい表情だった。
 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。この神聖ブリタニア帝国の第十一皇子にして皇帝よりブリタニア軍の司令官を任される俊秀。何れは国家宰相のシュナイゼルとも並ぶだろうと密かに噂される程、彼の能力は高い評価を受けていた。
 そして彼がその名を呼ばれることは少ない。少なくとも敵国の人間は彼のことを〝黒の皇子〟と呼んだ。黒衣に身を包み、漆黒のKMFを駆る彼は指揮官として類い希なる才能を用い数々のエリアを新たに創り上げてきた。いつかそんな彼を独占的に護る権利を得る為に、第七世代ナイトメアフレーム〝ランスロット〟のデヴァイサーとして彼と共に戦地へ赴いてきた。
 ルルーシュの騎士になること。それが彼と初めて出会った時からの夢だった。それなのに。
 それなのに自分は主となるべくその人に恋をしてしまった。主従の恋愛など御法度なこの世界で、一体どうしたらこの想いが報われるというのだろう。そもそも同性同士だということが更なる壁を―――それも簡単に飛び越えられることがない高い高い防波堤を築いている。
 そんな自分に出来ることは彼へ必要以上に触れないこと。そして必要以上の期待を持たないこと。これが極めて重要なことだった。
 しかしそうやって自分の感情を押し込めてまで彼に〝騎士にしてほしい〟と云っているのに彼はそれを受け入れようとはしない。もしや他に騎士の検討を付けている? まさかジェレミア卿ではないだろうな、と闇雲に思案しながら気が付けば寮へと到着していた。
「…ルルーシュ」
 こんな風に独り彼の名前を口に出し続けるのではなく、すぐに彼の元に走り、そうして彼の躯を抱きしめてしまえればどんなに良いだろうか。
 だが、状況が、身分が、何もかもが、それを赦そうとはしなかった。こんな気持ちを持っていることをルルーシュが知ったら、軽蔑されるだろうか。
 紫水晶のようなその眸には冷たい光が差し、その眸を見詰めているとこの邪な感情を全て見透かされているような気がしてしまう。彼は本当は全てに気が付いているのではないだろうか、とさえ思ってしまうのだ。もしルルーシュがこの気持ちを受け入れてくれたら? そう考えたことは何度もある。しかしそれが非現実的な考えであるということは重々承知していた。
 この恋が叶わないのは解っている。だからこそせめて彼を護る騎士になりたい。ずっとそれを願い続けているのにルルーシュは十八歳になろうという今も未だ自分のことを騎士に、と云うことはなかった。
 身支度を終え、宰相府のあるブリタニア本宮へと向かうべく、再び寮を後にする。同僚のブリタニア兵から侮蔑の眼差しを向けられるが、それらを全て無視し、前へと足を進めていく。
 ブリタニア軍人の中で自分の存在は異質だった。本国に名誉ブリタニア人の兵士は何人もいるけれど、こんなにも皇宮の近くに住まう者は自分しかいない。この寮はそもそもブリタニア人の士官や将校が暮らす軍人の寮としては上等な場所だった。
 そんな場所に住むことが叶ったのはそもそもルルーシュと親しかったことが直接の理由だろう。皇子の友人を汚らしい四人一部屋の寮に押し込むなど有り得ないことなのだ。別に自分としてはそれでも構わなかったけれども、周りが赦さなかった。そしてルルーシュも。
 しかしこうして同じ寮に住む者たちからは良いようには全く思われていないし、嫌がらせをされることも多い。勿論皇子と友人である自分に表だった嫌がらせはされないが、陰湿なものは多い。
 それでも、そんなことはルルーシュと会うだけで全て吹き飛んでしまう。ルルーシュに会えることが生きていく上での僅かな楽しみの一つだった。
「枢木スザク准尉」
 宰相執務室へ足を踏み入れると、第二皇子でありこの国の宰相でもあるシュナイゼル・エル・ブリタニアが微笑を携えていた。
 何を考えているのか全く読めないその微笑みは少しばかりの恐怖すら感じさせる程に真意の見えない表面的なものだった。
「良く来てくれたね。今日君をこの場所に呼び出したのには理由があるんだ」
 一体何をしでかしてしまったのだろうか。と少々不安になりながらもスザクはじっと彼の言葉を待った。
「そんなに不安になることはないよ。良い知らせだから」
「それは……」
 良い知らせ、とは何だろう。自分にとっての良い知らせとはルルーシュの傍に居られるようになることだ。
「皇帝陛下が君をナイト・オブ・セブンに任命すると決められた」
「―――ッ、自分をナイト・オブ・ラウンズに…ですか!?」
 まさか、そんなこと有り得る筈がない。准尉である自分がいきなりナイト・オブ・ラウンズになどどうしたら成り得るというのだろう。
「陛下は君の能力を買っておられてね。君にも悪くない話だと思うけれど」
 皇帝直々の命令なのだとしたら自分にとって利益があるなしに関わらず答えは既に決められたも同然だということにシュナイゼルが気付いていない筈が無かった。断れば自分もルルーシュもきっと今のままではいられなくなる。
「…わかりました。それが陛下のご意志ならば…自分は…」
「解ってくれて何よりだよ。枢木卿」
 にこり、とシュナイゼルは笑みを浮かべ、退室を促した。
「叙任式については後ほど封書で連絡を寄越すことになっているからね」
 部屋を出る直前、シュナイゼルに後ろから告げられ、振り返り大きく返事をした。
「イエス、ユア・ハイネス」

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