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もう何も言わないで

GEASS LOG TOP もう何も言わないで
約2,573字 / 約4分

「っ、」
 耳を打つような轟音と共にルルーシュは目を開けた。そうすれば視界に飛び込んできたものは闇だった。此処は何処だろう。一体どうして真っ暗闇に包まれているのだろうか。幾つかの疑問が浮かぶが、すぐにこうなった原因に繋がるであろう出来事が思い出された。
「……ナナリーッ」
 ナナリー、ナナリー、そうルルーシュは何度か繰り返す。その名は彼の最愛の妹のそれだった。動揺を隠せないルルーシュは不意に人の気配を感じた。
「誰だ」
 誰だ、と聞いてはみたものの、答えはとうに分かりきっていた。このような状況を作り出した異常者。
「分かっているのにどうして聞くのかなぁ? ルルーシュ」
 コツリ、こちらへと近寄ってくるブーツの踵が鳴った。状況を打開する為の策を捻りだそうとぼんやりと鈍る思考を無理矢理に働かせる。
「残念でしたー。出口はボクの後ろにしかないよ、ルル」
 ルルーシュの目の前まで近付いて来たその人物はゆっくりとルルーシュの頬へと指先で触れた。
「君のギアスは厄介だからね。包帯でぐるぐる巻いてみたんだけれど。痛い? 痛いんだね、でも駄目。C.C.を返してもらうまでボクは止めるつもりはないんだから。え? そんなこと、考えても無駄無駄。目を塞がれているのにボクに勝つことが出来るとでも思っているのかな、ルルは」
 妹が誘拐された。その犯人はこの目の前の男だった。目を塞がれ、その姿を確認することは出来ないけれども間違いなくこの男が犯人だった。彼の名はマオという。
 彼はギアス能力者だ。半径五百メートル以内に居る人物の思考を聞くことが出来るという能力であるという。そう説明したのは彼自身だった。彼はとにかくお喋りが好きだ。ギアスの能力を以て得た相手の情報を利用し、言葉巧みに相手を操る。そんな能力に長けていた。だから現在ルルーシュの思考は彼に全て漏れてしまっている状態であるし、彼は今までと同じようにルルーシュのことも意のままに操ろうとしているのだろう。
「ふぅん、C.C.のことを意識的に考えないようにしているって訳だね? まぁ君の頭の中の大半は妹とスザクってやつで占められているみたいだけれど? あ、スザクって名前を出した途端に動揺してる?」
 おもしろそうにそう笑みを零す男に指摘され、ルルーシュは眉を顰めた。
「へぇ、そのスザクってやつとルル、君たちセックスする仲なんだねぇ。男同士なのにさ、無意味だとか思わないの?」
 常に同時に数十通りもの思考を持つルルーシュは考えることを止められない。時にその能力は天才だと持て囃されるが、今回は相手が悪い。意識的に思考を制御しようとしてもそれはそう並大抵のことではない。名前を出された瞬間に幾つもの事実が瞬時に思考に再現される。
「っ、黙れ」
「厭だね。だってルルに命令されて従う必要ボクには無いもの」
 マオは笑ってルルーシュの頬へ触れていた指先を首筋へと滑らせていく。そうして喉元をぐっと押さえ込んだ。
「んっ!」
「C.C.は何処? 喋りたくないなら彼女のことを考えるだけで良いんだけどな」
 そう告げた途端、マオはクスクスと面白げに声を上げて笑い出した。
「はははっ、そう。C.C.は明日、帰ってくるんだ。じゃあクラブハウスで待ち伏せすれば何も知らないC.C.はボクの前に姿を現すんだね」
 ははは、あはは。知りたい情報を遂に入手し、マオは満足げに嗤う。そうしてルルーシュの頸に添えた手へと力を込めていく。座った状態だったルルーシュの背後には壁が存在しており、その場所へ彼の後頭部を押しつけるようにして酸素を奪う。
 息が出来ない。酸素が足りない。朦朧とし始めた思考にルルーシュは抵抗を試みるが、力が足りない。
「あははは、諦めちゃったのかな、ルル?」
 でもまだ、駄目だよ。マオはそう続ける。そうして離された手にルルーシュは大きく咳き込んだ。
「殺すのはもう少しゲームを愉しんでからにしよう?」
 ルル、と付け足される愛称は可愛らしいものだが、この男に呼ばれるのは憎らしくもある。
 ルルーシュは今日の放課後、クラブハウスに戻ると最愛の妹であるナナリーの姿を見ることが出来なかった。いつもならば高等部より少し早く授業が終わる中等部に在籍しているナナリーは、兄の自分より少し早く帰宅している。しかし、今日に限ってナナリーの代わりにルルーシュのことを出迎えたのは彼女の写真だった。ダイニングテーブルの上に置かれた一枚の写真。そこに映し出されているのは口をテープで塞ぎ、両手脚を彼女の車椅子に縛り付けられている状態の妹の姿だった。
 そうしてルルーシュの携帯電話が鳴り響く。間違いなくそれは犯人からのもので、ルルーシュはナナリーを助ける為に学園の地下へと向かった。
 その間、何度もルルーシュは己の思考を読んだかのように告げられる犯人からの言葉に彼がギアス能力者であり、彼の目的がC.C.であったことを知った。C.C.には今、黒の騎士団の仕事を任せており、このトウキョウ租界を離れている。
 地下でルルーシュは男に後ろから拘束された。そうして何か得体の知れない薬品を注射器で身体に注ぎ込まれ、意識を失った。目覚めたらこの状態である。
 此処にルルーシュが居ることは誰も知らない。よって偶然にこの地下に誰かが来ない限りは恐らく誰も助けに来ないだろう。
「ゲーム?」
 ルルーシュはマオの言葉を反復した。今までのが全てゲームだというのだろうか。ナナリーを拘束し、自分も拘束されてしまった。その上何を続けると?
「生き残るのは一人、ルルかナナリーっていうのはどうかな?」
 提案しているように聞こえる言葉はルルーシュにとって絶望的な一言だった。
「ナナリーを殺すか、ナナリーに殺されるか。ルルはどっちがいい? それとも兄妹二人仲良く一緒に死ぬ?」
 でも、それはつまらないなぁ、と零しながらマオはルルーシュの目を塞いでいた布を剥ぎ取る。
「っ!」
 その瞬間、ギアスを使えばいい、そう思ったがやはりその思考は筒抜けだった。
「ダメダメ。ボクには効かないよ」
 その言葉の通り、マオはその目を覆うように黒いサングラスのようなものを付けていた。ギアス対策なのだろう。いや、もしかしたら別の意味もあるのかもしれないが、現在ルルーシュのギアスを無効化させる役割を担っているのは確かだった。

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